カテゴリー「SOA」の2件の記事

Thursday, April 02, 2009

ボトムアップのSOA

日経SYSTEMS2009年4月号 日経SYSTEMS 2009年4月号に「事例に見るボトムアップのSOA」という記事が特集されていました。

この記事では5つのSOA事例が紹介されています。この5つの事例に共通するのは、全体最適を目指してトップダウンでSOAを導入したわけではないという点です。
 システム要件や実装の観点から、望ましいアーキテクチャ設計を追及していった結果、最終的にSOAに行き着いたというのが特徴です。

BPMの目的が業務プロセスの可視化と改善にあるように、SOAの目的はサービスの可視化と連携・拡張にあるとも言えそうです。実際、この記事で取り上げられている5つの事例は、どれもシステム連携と拡張性を追求した結果、SOAの採用に至っています。使用したツールやSOA基盤は様々ですが、ボトムアップのSOAを実践した結果、それなりの効果をあげているようです。

このことは、ユーザ企業にとっては良いニュースだと思います。なぜなら、全社的に多くの予算をかけなくても、現場主導でボトムアップ的にSOAのメリットを享受できる可能性があるためです。一方で、製品・ツールベンダーにとっては良い点と悪い点の両方がありそうです。

良い点は、ユーザ企業にとってSOA導入の敷居が低くなれば、SOA関連製品の導入が加速することが考えられるという点です。それに付随したSOA導入コンサルティングの需要が増える可能性もあります。
 悪い点は、大規模なSOA導入事例が少なくなり、小規模なボトムアップのSOA導入が増えることで、ツールのライセンス収入があまり見込めなくなるという点です。

この「ボトムアップのSOA」という観点は、BPMにも適用することができそうです。「ボトムアップのBPM」という切り口で、BPMツール導入のメリットをうまくアピールできないものかどうか、一度検討してみたいと思います。

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Monday, June 16, 2008

実践!SOAモデリング

Soa_modeling_2 システムエンジニアが読むSOAの入門書として、なかなかよいと思います。「SOAとは何か」「SOAを構成する技術要素」「SOA導入の流れ(サービス/基盤アーキテクチャの分析・設計・構築)」を一通り説明してくれるので、SOAの全体像を理解することができました。

一般的に、SOAとはいったい何のことなのか非常にわかりにくい気がします。この本では、まずSOAの定義を挙げて、もやもやしていたSOAの定義に一つの切り口を示してくれます。

SOAは、ビジネスとITの整合性を確保し、ビジネス環境とIT環境の変化に柔軟に対応するための迅速性、適応性を実現するために、サービスを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。

続いて、「広義のSOAと狭義のSOA」というコラムが掲載されています。一口にSOAといっても、人によっては企業の全体最適化を目指すビジネスよりの視点を意味することもあれば、システムの実装技術であるWebサービスやESBを意味していることもあり、単にSOAといっただけでは議論が噛み合わないことになりそうです。その点でこの本は、中道をいっているように思えます。ビジネスとITの融合といった感じで、非常にバランスの良い本だと思いました。

第2章の「モデルベースSOA」ではBPMNを使ったビジネスモデリングに触れており、この辺りはまさにBPMです。第5章の「SOAのためのビジネスモデリング」でも、一章を割いて「ビジネスモデリング」について説明しています。やはりSOAにおいても、単にサービスを定義すればOKではなくて、事前の業務モデリングありきなんだなーということを実感しました。

今回この本を読む前の疑問として、BPMとSOAの関係はどうなっているのか?というのがありました。上記にあげたように、まずモデリングありきという意味では、SOAとBPMはほぼイコールの関係なのだと思います。強いて挙げるならば、BPMが始めの段階では特にITを意識せず、業務プロセスの可視化と最適化を図っていくのに対して、SOAでは初めからITを意識して業務のサービス化と最適化を図っていくところに違いがあるのかもしれません。

どちらのアプローチを取るにせよ、BPMN、BPEL、Webサービス、ESB・・・といった技術を活用して、動くシステムを作り上げていくのが、システム・エンジニアの仕事です。これからもさらに、周辺の知識や技術を学んで業務に活用していきたいと思います。

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