カテゴリー「「仕組み」で成功する」の5件の記事

Sunday, June 14, 2009

「仕組み」仕事術

「泉正人:『「仕組み」仕事術』へのリンク(Amazon.co.jp) 「仕組み」関連の本は過去にも何冊か読んだことがありますが、今回は特に「仕組み」を前面に打ち出した本書を読んでみました。

思えば、最近私はあまりブログを更新できていない状況です。言い訳ではないのですが、会社でやるべき仕事が最近多い気がします。ただ、それらの仕事をすべてやろうとしたら、いくら時間があっても足りません(自分の「コピーロボット」がいれば良いのですが)。

しかし、限られた時間の中で、ある程度のクオリティのアウトプットを出さなければならないわけで、そのためには、どうしても仕組み化が必要だと最近思っています。本書では「仕組み」を以下のように定義しています。

仕組みとは、「誰が、いつ、何度やっても、同じ成果が出せるシステム」のこと。

また、著者は仕事の内容を以下の2つに分けています。

  1. 「作業系」の仕事・・・あまり頭を使わずに処理できる仕事。ルーチンワークなど。
  2. 「考える系」の仕事・・・頭を使って考える必要がある仕事。新規事業のプラニングなど。

「作業系」の仕事を仕組み化することで、時間と労力を徹底的に効率化し、生まれた時間と労力を「考える系」の仕事に充てるべきというのが、本書の主張するところです。

その「仕組み」を作る時間がないんだよなーという言い訳が出そうですが、なんとか「仕組み」を作らないことには、いつまでもやるべき仕事と時間に追われる「ラットレース」になってしまいます。時間はコントロールすべきものであって、時間の奴隷になってはいけないというのも確かです。そういった意味で本書は、「自分は仕事に追われていないか?作業系の仕事を仕組み化することで、付加価値の高い仕事にもっと専念できないか?」ということを思い起こすための良いリマインダーとなってくれそうです。

第3章では、「データ管理」「タスク管理」「メール処理」などを効率化するためのアイデアが紹介されています。これらの内容は、すでに実践している方も多いと思いますが、さらなる効率化を考える上でのヒントにはなると思います。また、第4章では、仕組みで考えるための7つの習慣が述べられています。

  1. 楽することにこだわる
    ⇒ 誤解されそうな表現ですが、「手を抜く」こととは違います。質の高い仕事を、楽に実現できるような「仕組み」を作り上げるということです。
  2. シンプルに考える
  3. 記憶せずに、記録する
  4. わからないことは聞く
  5. 自分の時間を、時給で判断する
    ⇒ 自分の時間単価を意識し、他の人がやる方が効率的(低コスト)なことは、自分ではやらない
  6. うまくいっている人の真似をする
  7. 自分を「型」にはめる
    ⇒ 自分を動かすルール・仕組みは自分で作る

「仕組み」を作るためには、誰がやってもできるレベルにまで落とし込まないといけないわけで、そのためには経験と仕組み化の労力が必要です。

しかし、一度仕組みを作ってしまえば、文字通り誰がやってもそれなりの成果があがるわけです。そして、その作業から解放された自分は、さらに付加価値の高い仕事に集中する。このサイクルがうまく回っていくことで、組織としての優位性・生産性を高めていくことが可能になるのだと思います。

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Sunday, December 21, 2008

やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている

荒濱一、高橋学:「やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている」へのリンク 私はこれまで、このような「仕組み」を全面に打ち出した本を読んだことがなかったので、本書を読んでかなり衝撃を受けました。私がこの本から得た衝撃(影響)とは、以下の2点です。

1.「仕組み」を作りあげることで、それほど働かなくても儲かる仕組みを実現している人が実際にいることを確認できたこと。

2.「仕組み」作りとは、必ずしも限られた人のみに与えられた特殊な能力ではなく、日常の仕事でも実践可能ないくつかの「原則」によって成り立っていることに気づかせてくれたこと。

本書では「継続的な収入を生み出す仕組み」を実現した9人の方が取り上げられています。そして、それぞれの事例の背景にある「思想」が以下の9つのキーワードでまとめられています。

「複製」「他力」「多面」「継続」「分身」「標準」「法則」「即行」「論理」

「仕組み」と一言でいってしまうと、何か怪しげで特殊なマジックのようにも思えてしまいますが、上記の要素に分解することで、実はとてもまっとうで常識的な手法から構成されていることがわかります。

本文中でも述べられていますが、仕組みとは決して楽をして儲ける錬金術ではなく、がむしゃらな努力や現場の経験を否定するものではありません。しかし、目の前の仕事に追われるサイクルにはまってしまうのではなく、上記の思想を意識することによって、あるタイミングで仕組み化することが必要だということです。

この考え方は、早速いろいろな局面で会社の仕事に活用できそうですし、プライベートでも仕組みを活かせる部分を常に意識するようにしていきたいと思います。

以下は個人的なメモです。


「プロセスを細分化して問題を”見える化”するとともに、それぞれのプロセスで一番効率的な【標準】を作り上げ、実践する。これを行わないと、何でうまくいっているのか、あるいは何で失敗しているのかもわからない。となると何かやっても成果がどうなるか見えず、ビジネスがバクチになっちゃうんですよ」(p.158)

プレイヤーではなく監督になれ(p.201)

汎用性の高いものこそが、本当に儲かる『仕組み』なんですよ。具体的に手っ取り早く儲けることだけを考えていたら、「仕組み」にならない。(p.223)

消費してしまったら、お金がお金を生まないでしょ。だから僕は不動産などの投資に回す。(p.224)

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Monday, December 15, 2008

短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント

石田淳:「短期間で組織が変わる」へのリンク 「行動」に焦点を当て、行動を変えることによって目標を達成する手法「行動科学マネジメント」を解説した本です。

いわゆる成果主義の弊害は、「成果」のみに焦点をあててしまい、成果に至るまでの行動(プロセス)が無視されてしまうところにあると著者は指摘しています。

確かに、「目標」→「成果」の間には「行動」があるわけで、成果をあげるためには行動を変えなければいけません。成果だけを評価していたのでは、たまたま成果を出していた人や部門がその後も成果をあげ続けることは保証できないわけです。また、成果があがらない人や部門のパフォーマンスを改善しようとしても、単なる精神論で終わってしまったり、効果がでない結果となってしまいがちです。

著者は「結果を変えるには、行動を変えるしかない」と言います。また「できない人間は、やり方が分からないか、分かっていても持続できないだけだ」とも言っています。

つまり、「組織の生産性があがらない」とか、「部下が思い通りに動いてくれない」と嘆くよりも、「1.効果をあげるやり方を示してあげること」、「2.正しいやり方を持続するための仕組みを提供すること」がなによりも重要だということです。1については、「チェックシート」が例としてあげられています。古典的なようにも思えますが、ベストプラクティスを浸透させるための方法として、「チェックシート」は確かに効果的だと思います。むしろ、2の仕組みをどのように回していくのかが、難しいところであり、読者(マネージャー)がこの本から学ぶべきところです。

本書では「PST分析」という手法を通して、社員が望ましい行動を継続していくための仕組みはどのようなものであるべきかを解説しています。望ましい行動を継続できるかどうかは、意思の問題ではなく、むしろ行動を促進するための機械的な「仕組み」作りにかかっているといえそうです。

この仕組みによって、プラスのモチベーションが働くことで、行動が習慣として定着し、組織全体の生産性改善につながるわけです。社員の行動を改善するための方法として、賞与や福利厚生といったこれまで行われてきた手法では効果が低いことについてもふれられています。このような仕組みを回すためのフレームワークとして、以下の5つのステップが説明されています。

1.ピンポイント
 望んでいる結果に直結する行動を発見する。

2.メジャーメント
 行動の結果を測定する(質、量、時間、コスト)。

3.フィードバック
 結果・効果を本人に示すことで、自発的意欲を促す。

4.リインフォースR+
 行動に報いることで、望ましい行動を継続・定着させる。

5.評価
 行動と成果を評価する。

興味深いのは、4.リインフォースのところで、高価な金銭的見返りは必要ないということです。ちょっとしたねぎらいの言葉や、社内報に名前を載せること、チョコレートなど、要は望ましい行動をした時に何らかの反応があるということが重要なわけです。その人にとって、何が良い反応なのかは人によって異なります。このため、一律に対応するのではなく、マネージャーの臨機応変な判断が求められることになります。

BPMとの関連

私が最近仕事で関わっているBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)では、「業務プロセス」に焦点を当てて組織目標の実現を図ります。「業務プロセス」は、最終的には人の行動によって支えられているわけですから、本書の手法はBPMを導入する際にも十分活用することができそうです。

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Saturday, August 16, 2008

「先読み力」で人を動かす

Sakiyomi IBM系企業のプロジェクトマネージャの方が書いた本です。サブタイトルにあるように、「プロアクティブ」が本書のテーマです。プロアクティブとは、「想定される問題やシナリオを先読みして、先手を打ち一歩先に行動する」考え方だそうです。

本書の内容は、IT業界で働く人にとって納得できる部分が多いと思います。また、プロジェクトメンバーからリーダーの立場に上がる際には、どうしても身に付ける必要があるスキルです。プロジェクトの成功には、「技術力」と「マネジメント力」の両方が必要ですが、やはりIT業界では「技術力」の高い人や技術の好きな人が多いと思います。しかし、プロアクティブなマネジメントなしには、結局プロジェクトがうまく回らず、全員が疲弊する結果となってしまいがちです。

このような「プロアクティブ」な考え方は、世間で「できる人」「要領の良い人」と言われる人が無意識のうちに実行しているスキルだと思います。私が働いてきたIT業界に関しては、「いい人」や優秀な技術者は多いのですが、その一方で要領が悪いケースがよくあると思うのです。プロジェクトの関係者が「プロアクティブ」を意識することで、IT業界全体の生産性が向上し、成功プロジェクトが増えていけば素晴しいことですね。

プロアクティブな考え方をタイムマネジメントに活かす方法として、手帳やExcelを使用した具体的なやり方が紹介されています。大きな流れは以下のようになります。

  1. 自分なりの仮説を持つ
  2. 仮説に基づいてスケジュール・シナリオを作成する
  3. 実績を記録し、管理する
  4. スケジュールと実績の乖離を分析する
  5. 分析結果に基づいて仮説を修正し、次のアクションにつなげる

タイムマネジメント以外にも、「プロアクティブ」をキーワードとして、チームマネジメント、ミーティング管理、リーダーの心構えについても紹介されています。

私は現在、技術コンサルタントとして様々なプロジェクトに参画していますが、複数の案件をうまくこなしていくためにも、プロアクティブな行動を実践してチーム全体の効率を上げていきたいと思います。

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Thursday, June 26, 2008

レバレッジ・シンキング

Leveragethinking 本田直之さん「レバレッジ」シリーズの中の一冊です。本書の後半は、「レバレッジ・リーディング」、「レバレッジ勉強法」、「レバレッジ人脈術」をすでに読んでいたため、あくまでも復習といった感じでした。

本書の良いところは、レバレッジシリーズの根底にある考え方「DMWL」(Doing more with less)を説明してくれるところです。レバレッジ・シンキングでは、「労力」「時間」「知識」「人脈」にレバレッジ(てこの原理)をかけ、DMWLを実現します。

少ない努力でより大きな成果を挙げることができれば、空いた時間を別の仕事に有効活用できます。このサイクルがうまく回れば、得られる成果も複利的に成長していくわけです。このようにDMWLは素晴らしい考え方ですが、楽をして成果のみを得ようとする都合の良い処世術ではありません。この本では、そのような誤った考え方をちゃんと牽制してくれています。

DMWLの目的は、仕事の手を抜いて楽をすることではありません。仕事のやり方を効率化して空いた時間を活用し、より多くの成果をあげるとともに成長の機会を作ることです。また、能力を上げてDMWLを実現するためには、一定量の仕事経験が必要ということについても、以下のように言及しています。

新入社員が、「わたしは効率重視なので九時から十七時までしか働きません」と帰ってしまったとしたら、いっこうに成果は上がらないでしょう。 このように、余裕時間をつくることだけしか考えないのではなく、成果があがるから余裕時間ができるようになるのです。そして余裕時間を投資に回すことでさらに時間が生まれ、一対一が一対無限大へとなるのです。

まずゴールを設定して必要なタスクを洗い出す「俯瞰逆算思考」など、DMWLを実現するためのツールもいくつか紹介してくれています。このような考え方は、わかってはいてもなかなか実践できなかったりするので、私も常日頃から意識してDMWLを実践していきたいです。

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