案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」
電通でコピーライターをやっていた方が書いた本です。有名なコピーは、特殊な才能や感性を持った人が芸術的なひらめきで生み出すイメージがあります。しかし、本書を読むと実はちょっと違うということがわかります。本書のメインテーマは「経験の重要性」です。
ユニークなアイディアや提案に価値があるのは確かです。しかし、そのような「ユニーク」さには危険な側面もあります。ユニークでインパクトのあるアイディアであっても、独りよがりなものであったら、本書でいうところの「ユニークの暴走」でしかないわけです。広告業界というのは、インパクトが勝負だと思っていましたが、あくまでもクライアントあっての商売であり、やはり目的はクライアントの商品を売るところにあります。
単に奇をてらったユニークさや、薄っぺらな言葉遊びに陥いってしまったのではプロではないわけです。そこで必要なのが、コピーライターの「経験」ということになります。本書では「頭の中の水がめ」や「経験データベース」と表現されていますが、経験や知識の幅が少なければ、それなりのコピーしか書けないわけです。人を動かすコピーを作るためには、経験・知識を増やしていく必要があります。そこで、どのように経験を増やしていけば良いのかについて、著者の考え方が述べられています。
著者は「経験」を以下の3つに分類しています。
- 実経験
- 擬似経験
- 脳内経験
実経験と擬似経験には、それぞれメリットとデメリットがあり、それを補うのが「脳内経験」だということです。脳内経験は「考える」という行為で増やすことができ、物理的な制約を超えることも可能です。脳内経験は「脳内アングル」と「脳内ツリー」という2つのツールから構成されています。これらは様々な角度から多面的に考えるマインドマップのようなツールだと私は理解しました。これらのツールを使うことで、全体を把握し、主観(偏見)を排除することが可能となります。
脳内経験を増やしていくことにより、一つのテーマに対して様々な切り口でアイディアを出すことができそうです。これは、説得力や深みのあるコピーを生み出す上で有効な方法だと思いました。また、私が仕事で扱っているようなIT関連の製品やサービスを提案していく上でも役に立つ考え方だと思います。
様々な物の見方を許容するということは、結果的に偏見を減らして、豊かで幅広い人生を生きていくことにもつながると思いました。私は最近、仕事が結構忙しかったりして、新しい情報や考え方を受け入れる余裕が無くなっていた気がします。常に心を柔軟にして、経験や知識の幅を広げていくように意識していきたいものだと思います。
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