BPMとBPMツールの関係
3/10(火)に開催された「第1回 ビジネスプロセスパターン研究(BPP研究)」に参加してきました。社外の勉強会に参加するのは、ほとんど初めての経験だったのですが、様々な経験を持った方々のお話を聞くことができて、よい刺激を受けることができました。今回は会の趣旨や議題を聞くだけで終わってしまった感じもありますが、次回からはテーマに対して自分なりの意見を発表できるように準備していきたいと思います。
BPP研究の目標は、「ビジネスが求めるITを実現するためのフレームワーク」の構築にあると理解しています。私はIT・システムを提供するSIer/ベンダー側の人間なので、どうしてもシステムやツールありきで考えることが多かったです。しかし、最近は勉強会に参加したり、mark-wadaさんのブログを拝見したりする中で、ビジネス寄りの視点でシステムを考える必要性を感じています。
特に、昨年からは仕事でBPMツールを扱っていますが、BPMツール導入のメリットをお客様にアピールするのは難しいと感じています。そこで、「BPM」と「ビジネス」と「システム」の関係を一度整理しておきたいというのが、今回のブログエントリの理由です。
まず、以下の表を作ってみました(表1)。縦軸は企業が組織的にBPMを実践しているかどうかを示しています。横軸は企業がBPMツール(BPMS)を使用しているかどうかを示します。そして、各象限にはビジネス・システムの視点から見た組織の状況を記述してみました。
表1:BPM取組状況とBPMツール使用有無のマトリクス
BPMツールの利用 | |||
---|---|---|---|
あり | なし | ||
BPMの実践 | あり | ビジネスの視点: |
ビジネスの視点: |
なし | ビジネスの視点: |
ビジネスの視点: |
BPMツールを使っていても、組織的にはBPMを実践していないケースが存在すると考えられます。また逆に、BPMを実践しているが、BPMツールは使用していない・もしくは必要ないケースも考えられます。そこで、表1を作ってみたのですが、BPMが目指す理想は左上の象限だと考えられます。しかし、それ以外の象限であっても、企業としてそれなりのメリットを享受できているケースは存在すると思います。また、右下の象限に留まっていても、これまでのやり方でそれなりに業務が回っているというケースもあるかもしれません。
ここで言いたいことは、ビジネスとITをつなぐためには、単なるBPMやBPMツール以外の何かが必要だということです。というのも、ビジネス寄りの人はBPM的な視点から業務を見ていて、システムのことは気にしていないのが普通だと思います。また、システム寄りの人は従来型の機能ベース、もしくはSOA的な視点からシステムを見ているが、システムの開発や保守に忙殺されているかもしれません。この状態では、BPMやBPMツールを取り入れても、企業にとってのメリットが限定的なものになってしまう可能性があります。
これまでビジネスとITを繋いでいたのは、システム開発における「要求分析」や「要件定義」といったフェーズだと思います。「業務プロセスの可視化」というのは、BPMで初めて出てきたものではなく、これまでもシステム開発の上流工程では普通に行っていたことのはずです。そこで、本当の意味でビジネスとITをつなぐためには、単にBPMやツールを導入するのではなくて、以下の2つのいずれかの方法が必要であると考えられます。
- これまでのシステム開発のやり方を踏襲する場合、上流工程において、BPMとSOAの両方を意識した「要求分析」や「要件定義」を行う。
- これまでのシステム開発に代わる、BPM・SOAならではの開発方法論を導入する。
ビジネスとITを連携させるためには、BPMだけではだめで、BPMツールやSOAだけでもだめで、BPMとSOAの両方を実践・推進していくためのフレームワーク、考え方が必要なのだと思います。今後の課題として、そのようなフレームワークを模索していきたいです。
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