先日(1月28日)日本BPM協会主催の「第7回ビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)入門セミナー」に参加してきました。
開催場所は六本木です。このセミナーは半日のみですし、参加料も比較的安いので、BPMの概要や事例をまずは知りたいという方に調度よい内容だと思います。今回は、SIer、エンドユーザ、コンサルティング系など様々な会社から、20数名の方が参加していました。
1.BPMは不況に強いか?
セミナーの冒頭で、日本BPM協会のアンケート結果に関する説明がありました。
業務の可視化・改善サイクルを回している企業の方が好業績(売上高、営業利益率)という傾向があるそうです。好況期はこの傾向が顕著でないが、市場低迷下には違いが顕著に出る傾向があるということです。このあたりは、議論の分かれそうなところですが、BPMの有効性をアピールしていく上では根拠資料として使えそうです(http://www.bpm-j.org/news/release/#000478)。
2.BPMの定義
まずBPMの定義について説明がありました。BPMとは「業務の可視化・実行・継続的改善を促進するしくみ」であると定義されています。BPMはいろいろな捉えられ方をしていますが、このように一言でまとめていただくと、とても分かりやすくて良いなと思いました。
3.BPMのメリット
BPMの狙いとメリットについて、配布資料に様々な側面が取り上げられており、BPMのメリットをあらためて考える上で参考になりました。
また、今回のセミナーはBPMの理想形・あるべき姿が紹介されているため、BPMS(BPMツール)に関しても様々な機能が紹介されています。私が仕事で扱っているBPMツールには「シミュレーション」の機能がないのですが、今回の説明を聞いて、シミュレーション機能はやっぱりあった方が便利そうだよなーと思いました。
4.BPMとSOAの関係
BPMとSOAの関係に関する説明もありました。日本BPM協会では、BPM(プロセスの設計・実行、プレゼンテーション)とSOA(サービスの設計・実行、アプリケーションロジック)をきっちり分けているようです。
私はこれまで、BPMとSOAには重なる部分・包含する部分があると考えていたのですが、このようにきっちり分けた方がむしろ分かりやすそうです。そういった意味では、BPMとSOAの関係をあらためて考え直す上で参考になりました。
ただし、現状ではすべてをサービス化することは難しく、プレゼンテーションと機能が紐付いているケースもあるので、このあたりをどのように扱っていくかをさらに検討していきたいと思います。
5.BPM推進フレームワーク
日本BPM協会が提案する「BPM推進フレームワーク」に関する説明がありました。資料自体はサイトからダウンロードできます。セミナーでは各Stepの詳細やプロジェクトの進め方について話を聞くことができました。「BPMのプロジェクトは従来のビッグバン的アプローチでは成功しない。スモールスタートで始め、成功体験を横展開していくのが通常のパターン」というベストプラクティスを聞くことができたのも良かったです。
また「BPM推進フレームワークは必ずしも初めからすべてのStep実施するのではなく、職場のレベルに応じて段階的に取り入れていくのが良い」という説明も参考になりました。
6.BPM事例
BPMを導入した3つの企業の事例が紹介されました。どの事例もキーワードは「プロセスの可視化」と「BAMによる状況管理」に行き着くなと思いました。私は製品ベンダー・SIerの立場なのですが、お客様とともに現行の業務をどのように分析・可視化していくのか、が当面の課題となりそうです。
7.システム開発との関連
BPM推進フレームワークには、アプリ開発のフェーズが含まれていません。これは、業務ロジックはSOAのサービスを利用することが前提であり、画面はユーザ主導で作成することを理想形としているためだそうです。
確かに、画面はBPMツールの画面生成機能で作成し、既存のWebサービスを呼び出すだけであれば、将来的にはユーザ主導のBPMが実現するのかもしれないです。しかし、BPMツールで作成可能な画面には、まだ表示上の制約があったりするので、リッチな画面を作成したいケースでは、SIerがJSPなどで画面を開発する場合もあるかと思います。このような場合でも、将来的にユーザが簡単に修正できるような作りを意識しておく必要がありそうです。
また、BPMでは短期間のプロジェクトを継続的に数多く回していくことになります。このため、SIerと顧客との関わり方も変わっていくことになるのかもしれません。
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