実践!SOAモデリング
システムエンジニアが読むSOAの入門書として、なかなかよいと思います。「SOAとは何か」「SOAを構成する技術要素」「SOA導入の流れ(サービス/基盤アーキテクチャの分析・設計・構築)」を一通り説明してくれるので、SOAの全体像を理解することができました。
一般的に、SOAとはいったい何のことなのか非常にわかりにくい気がします。この本では、まずSOAの定義を挙げて、もやもやしていたSOAの定義に一つの切り口を示してくれます。
SOAは、ビジネスとITの整合性を確保し、ビジネス環境とIT環境の変化に柔軟に対応するための迅速性、適応性を実現するために、サービスを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。
続いて、「広義のSOAと狭義のSOA」というコラムが掲載されています。一口にSOAといっても、人によっては企業の全体最適化を目指すビジネスよりの視点を意味することもあれば、システムの実装技術であるWebサービスやESBを意味していることもあり、単にSOAといっただけでは議論が噛み合わないことになりそうです。その点でこの本は、中道をいっているように思えます。ビジネスとITの融合といった感じで、非常にバランスの良い本だと思いました。
第2章の「モデルベースSOA」ではBPMNを使ったビジネスモデリングに触れており、この辺りはまさにBPMです。第5章の「SOAのためのビジネスモデリング」でも、一章を割いて「ビジネスモデリング」について説明しています。やはりSOAにおいても、単にサービスを定義すればOKではなくて、事前の業務モデリングありきなんだなーということを実感しました。
今回この本を読む前の疑問として、BPMとSOAの関係はどうなっているのか?というのがありました。上記にあげたように、まずモデリングありきという意味では、SOAとBPMはほぼイコールの関係なのだと思います。強いて挙げるならば、BPMが始めの段階では特にITを意識せず、業務プロセスの可視化と最適化を図っていくのに対して、SOAでは初めからITを意識して業務のサービス化と最適化を図っていくところに違いがあるのかもしれません。
どちらのアプローチを取るにせよ、BPMN、BPEL、Webサービス、ESB・・・といった技術を活用して、動くシステムを作り上げていくのが、システム・エンジニアの仕事です。これからもさらに、周辺の知識や技術を学んで業務に活用していきたいと思います。
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